【親が亡くなったらやること完全リスト】葬儀・届出・相続を時系列で整理
親が亡くなった——。突然の知らせに頭が真っ白になるのは、誰にとっても当たり前のことです。けれど、悲しみの中でも手続きは待ってくれません。死亡届、葬儀の手配、年金の停止、相続の判断……。やるべきことは驚くほど多く、しかもそれぞれに期限があります。
この記事では、親が亡くなったらやることを「当日〜3日」「1〜2週間」「1〜3ヶ月」「3〜10ヶ月」「10ヶ月以降」の5つの時期に分けて、時系列で整理しました。今のあなたの状況に合ったセクションから読み始めていただけます。
「次に何をすればいいか」がわかるだけで、少し気持ちが落ち着くはずです。一つずつ、順番に進めていきましょう。
【当日〜3日以内】最初にやること
親が亡くなった直後は、気持ちの整理がつかない状態だと思います。しかし、この時期にやるべきことは3つに絞られます。死亡診断書の受け取り、葬儀社への連絡、そして近親者への連絡です。
死亡診断書の受け取りと死亡届の提出(7日以内)
親が病院で亡くなった場合、担当医が「死亡診断書」を作成してくれます。自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡しましょう。かかりつけ医がいない場合や死因が不明な場合は警察に連絡し、検視のうえ「死体検案書」が発行されます。
死亡診断書と死亡届は、実は同じA3用紙の左右に印刷されています。左半分が死亡届、右半分が死亡診断書です。
死亡届の届出期限は、死亡の事実を知った日から7日以内です(戸籍法86条1項)。届出先は、死亡地・届出人の所在地・本籍地のいずれかの市区町村役場。届出義務者は同居の親族が最優先ですが、同居していない親族や、葬儀社が代行することも多くあります。
死亡届を提出すると「火葬許可証」が交付されます。これがなければ火葬はできません。
ここで一つ、大事な実務ポイントがあります。 死亡診断書は5〜10枚コピーを取っておいてください。保険金の請求、銀行の手続き、不動産の名義変更など、さまざまな場面で提示を求められます。原本の再発行には1通3,000〜5,000円ほどかかるため、コピーで済むものはコピーで対応するのが賢明です。
葬儀社への連絡と葬儀の手配
病院で亡くなった場合、病院からは比較的早い段階でご遺体の搬送を求められます。そのため、葬儀社への連絡は最優先事項の一つです。
搬送先は自宅か、葬儀社の安置施設のどちらかになります。安置施設の利用料は1日あたり5,000〜15,000円程度が相場です。
葬儀の種類と費用の目安は以下のとおりです。
- 一般葬: 100〜200万円(親族・知人を広く招く従来型の葬儀)
- 家族葬: 30〜100万円(家族や近親者のみで行う)
- 一日葬: 20〜50万円(通夜を省き、告別式と火葬を1日で行う)
- 直葬・火葬式: 10〜30万円(儀式を行わず火葬のみ)
事前に葬儀社を決めていない場合は、可能であれば複数社から見積もりを取りましょう。総額表示かどうか、追加費用が発生する可能性があるかを必ず確認してください。
なお、葬儀費用は相続税の計算で控除できます(相続税法13条)。領収書は必ず保管しておきましょう。
通常のスケジュールは、死亡翌日に通夜、翌々日に告別式と火葬です。ただし都市部では火葬場の空きがなく、3〜5日待ちになることもあります。また、死亡後24時間は火葬ができません(墓地埋葬法3条)。
葬儀の種類や費用の詳細については、別記事で詳しく解説しています。
近親者・関係者への連絡
連絡の優先順位は、おおよそ以下のとおりです。
- 同居の家族・子ども
- 親の兄弟姉妹
- 親しい友人・知人
- 勤務先(現役の場合)
- 菩提寺・宗教関係者
- 町内会・自治会
連絡内容は、死亡の事実と、葬儀の日程が決まっていればその案内です。家族葬の場合は「家族のみで執り行います」と参列辞退の旨を伝えましょう。
実務ポイントとして、故人の携帯電話のアドレス帳は連絡先を特定する重要な手がかりになります。 スマートフォンの充電を切らさないようにし、可能であればパスコードを確認しておいてください。
連絡リストを作成し、誰に連絡済みかをチェックしていくと、漏れを防げます。喪主として準備すべきことの詳細リストについては、別記事でまとめています。
【1週間〜2週間以内】届出・届け出の手続き
葬儀が終わると、少しだけ日常に戻る時間がありますが、ここから行政手続きが始まります。いずれも期限が14日以内のものが多いため、葬儀後すぐに取りかかりましょう。
年金・健康保険の停止手続き(14日以内)
親が年金を受給していた場合、受給を停止する届出が必要です。
- 国民年金: 市区町村役場に「受給権者死亡届」を提出。期限は14日以内
- 厚生年金: 年金事務所に届出。期限は10日以内
届出が遅れると、死亡後に振り込まれた年金が「過払い」となり、後日返還請求されます。故意に届出をしなかった場合は、不正受給とみなされるリスクもあります。
一方で、死亡月分までの未受給年金は「未支給年金」として遺族が請求できます(国民年金法19条)。請求期限は5年です。また、遺族年金の受給資格がないかも確認しましょう。年金事務所で相談すれば、受給の可否を教えてもらえます。
健康保険証の返却も忘れずに。国保なら市区町村役場へ、社保なら勤務先を通じて保険組合へ返却します。後期高齢者医療の場合は広域連合(市区町村窓口)に資格喪失届を提出します。
また、葬祭費・埋葬料の申請も忘れがちです。国保の場合は葬祭費(3〜7万円)、社保の場合は埋葬料(5万円)が支給されます。申請期限は2年以内です。
年金の停止手続きと遺族年金について、詳しくは別記事で解説しています。
世帯主変更届(14日以内)
亡くなった親が世帯主だった場合、14日以内に世帯主変更届を市区町村役場に提出する必要があります(住民基本台帳法25条)。
ただし、世帯に残った15歳以上の人が1人だけの場合は届出不要です(自動的に変更される自治体がほとんどです)。届出が必要なのは、残った世帯員が2人以上いる場合です。
届出に必要なものは、届出人の本人確認書類と印鑑(自治体によります)。委任状があれば代理人による届出も可能です。
公共料金・各種サービスの名義変更
故人名義の契約をそのままにしておくと、口座凍結後に引き落としができなくなり、サービスが停止してしまう場合があります。
主な手続き先は以下のとおりです。
- 電気・ガス・水道: 各事業者に連絡して名義変更。引き落とし口座の変更も同時に
- 固定電話: NTTの場合は「承継」手続き
- 携帯電話: 各キャリアに連絡。解約する場合は契約者死亡の届出
- NHK受信料: 名義変更または解約
- インターネット・プロバイダ: 解約または名義変更
- クレジットカード: カード会社に連絡して解約。未払い残高は相続財産の債務になる
- 運転免許証: 返納手続き(警察署)
- パスポート: 返納(旅券事務所)。期限切れなら不要
実務ポイント: 郵便局で故人宛の郵便物を自分宛に転送する手続きをしておくと、把握していなかったサービスや契約の存在に気づけることがあります。
【1ヶ月〜3ヶ月以内】財産の把握と初期判断
葬儀と行政手続きがひと段落したら、いよいよ相続の本格的な準備に入ります。この時期に行うのは「情報収集」と「重要な初期判断」です。特に、相続放棄には3ヶ月という期限があるため、財産と負債の把握は急ぐ必要があります。
遺言書の有無を確認する
最初に確認すべきは、故人が遺言書を残していないかどうかです。遺言書があるかないかで、その後の手続きの流れが大きく変わります。
公正証書遺言の場合は、全国どこの公証役場からでも「遺言検索システム」で有無を確認できます(昭和64年以降作成分が対象)。手数料は無料です。
自筆証書遺言の場合は、自宅の金庫、仏壇の引き出し、たんすの中などを捜索しましょう。法務局の「自筆証書遺言書保管制度」(2020年7月施行)を利用していれば、法務局で確認できます。
自筆証書遺言を自宅で発見した場合は、絶対に開封しないでください。家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です(民法1004条)。検認なしに開封しても遺言自体が無効になることはありませんが、5万円以下の過料が科される可能性があります(民法1005条)。なお、法務局保管の自筆証書遺言は検認不要です。
相続人の確定と戸籍の収集
法定相続人の範囲は法律で決まっています。
- 配偶者: 常に相続人
- 第1順位: 子(子が先に亡くなっている場合は孫が代襲相続)
- 第2順位: 直系尊属(父母・祖父母)——子がいない場合
- 第3順位: 兄弟姉妹(甥姪まで代襲相続)——子も直系尊属もいない場合
相続人を確定するには、被相続人の「出生から死亡までの連続した戸籍」を取得する必要があります。これは銀行の口座解約、不動産の名義変更、相続税の申告など、あらゆる場面で求められる書類です。
2024年3月1日からは「広域交付制度」が始まり、最寄りの市区町村役場で他市区町村の戸籍も取得できるようになりました。以前に比べてかなり便利になっています。
戸籍が揃ったら、法務局で「法定相続情報一覧図」を作成してもらいましょう。戸籍の束の代わりに各手続きで使えるもので、無料で何通でも発行してもらえます。
転籍が多い方は、戸籍の収集に1〜2ヶ月かかることもあります。早めに着手しておくことをおすすめします。相続人の確定方法と戸籍収集の手順については、別記事で詳しく解説しています。
相続財産・負債の全体像を把握する
相続するかどうかを判断するためにも、財産と負債の全体像を把握することが不可欠です。
プラスの財産(資産)の把握方法:
- 不動産: 固定資産税の納税通知書で確認。市区町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」を請求すると、故人名義の不動産が一覧で確認できる
- 預貯金: 通帳、キャッシュカード、銀行からの郵便物で取引先金融機関を特定
- 有価証券: 証券会社からの取引報告書、配当金の通知書
- 生命保険: 保険証券、保険会社からの郵便物
- その他: 自動車、貴金属、美術品、ゴルフ会員権など
マイナスの財産(負債)の把握方法:
- 住宅ローン、カードローン、未払いの税金、保証債務(連帯保証人になっていないか)
- 信用情報の開示: CIC・JICC・全銀協に開示請求すると、故人の借入状況が確認できる(各1,000円程度)
実務ポイント: 財産目録をエクセル等で作成し、一覧で管理しておくと、遺産分割協議や相続税申告がスムーズに進みます。
相続放棄の判断(3ヶ月以内)
財産よりも借金のほうが多い場合、「相続放棄」を検討する必要があります。
期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内です(民法915条1項)。この期間を「熟慮期間」といいます。
手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄の申述」を行います。費用は収入印紙800円と連絡用郵便切手(数百円)のみです。
相続放棄が認められると、初めから相続人でなかったことになります(民法939条)。つまり、借金を引き継がなくてよい代わりに、プラスの財産も一切受け取れません。
借金の額がはっきりしない場合は「限定承認」という方法もあります。プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法ですが、相続人全員で共同申述する必要があるため、実際にはあまり利用されていません。
3ヶ月を過ぎると、原則として「単純承認」したものとみなされます。ただし、財産の存在を知らなかったなどの事情がある場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てることも可能です。
重要な注意点: 相続財産を使ったり処分したりすると「法定単純承認」(民法921条)となり、相続放棄ができなくなります。ただし、葬儀費用の支出は社会的に相当な範囲であれば法定単純承認に該当しないとする判例があります。
相続放棄について詳しくは、別記事で解説しています。
銀行口座の凍結解除と仮払い制度の利用
金融機関は、口座名義人の死亡を知った時点で口座を凍結します。これは相続人間のトラブルを防ぐための措置ですが、残された家族にとっては葬儀費用や生活費の工面に困る原因にもなります。
ここで活用したいのが、2019年7月に施行された「遺産分割前の預貯金仮払い制度」です(民法909条の2)。
遺産分割協議がまとまっていなくても、以下の金額まで引き出すことができます。
- 計算式: 相続開始時の預金額 × 1/3 × 法定相続分
- 上限: 1金融機関あたり150万円
例えば、故人の口座に900万円があり、相続人が配偶者と子ども1人(法定相続分は各1/2)の場合、配偶者が引き出せる金額は「900万円 × 1/3 × 1/2 = 150万円」です。
必要書類は被相続人の除籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、請求者の印鑑証明書など(金融機関によって異なります)。
仮払い制度を利用した金額は、後の遺産分割で精算されます。銀行口座の凍結と解除手続きの詳細については、別記事で解説しています。
「相続放棄の期限(3ヶ月)が迫っている」「財産の全体像が把握できず不安」という方へ
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弁護士や税理士への無料相談を活用することで、今の状況を整理し、次にやるべきことが明確になります。初回の相談は無料で対応してくれる事務所が多くあります。まずは専門家に状況を伝えてみましょう。無料相談先の一覧は別記事でまとめています。
【3ヶ月〜10ヶ月】遺産分割と税務申告
財産の全体像が把握でき、相続放棄をしない(単純承認する)と決めたら、次は遺産をどう分けるかという話し合いと、税務申告の準備です。相続税の申告期限は10ヶ月ですので、逆算して計画的に進めましょう。
遺産分割協議——全員の合意を得る
遺言書がない場合(または遺言書に記載のない財産がある場合)、相続人全員で「遺産分割協議」を行います。誰が何をどれだけ取得するかを話し合い、全員が合意する必要があります。
法定相続分は以下のとおりです。
- 配偶者と子: 配偶者1/2、子1/2(子が複数なら均等割り)
- 配偶者と親: 配偶者2/3、親1/3
- 配偶者と兄弟姉妹: 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
ただし、法定相続分はあくまで目安です。全員が合意すれば、どのような分け方でも構いません。
合意に至ったら「遺産分割協議書」を作成します。全員が署名し、実印を押印。印鑑証明書を添付します。この書類は、銀行口座の解約、不動産の名義変更、相続税の申告に使用します。
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の「遺産分割調停」を申し立てることができます。それでも不成立なら「審判」に移行します。
生前の事情が考慮されるケースもあります。親の介護に長年貢献した相続人には「寄与分」が認められる場合があり、生前に多額の援助を受けた相続人には「特別受益」として持ち戻しが行われる場合があります。
また、2020年4月に施行された「配偶者居住権」の制度により、配偶者が自宅の所有権を取得しなくても住み続けられるようになりました。
実務ポイント: 感情的な対立を避けるためには、財産目録を事前に全員で共有し、客観的なデータに基づいて協議を進めることが大切です。
相続税の申告と納付(10ヶ月以内)
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です(相続税法27条)。申告先は被相続人の住所地を管轄する税務署です。
まず、相続税がかかるかどうかの判断基準を確認しましょう。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例えば、相続人が配偶者と子ども2人の場合、基礎控除は4,800万円です。相続財産の合計がこの金額以下であれば、原則として相続税はかかりません。
基礎控除を超える場合でも、以下の特例・控除で大幅に税負担が軽減されるケースがあります。
- 配偶者の税額軽減: 1億6,000万円または法定相続分のいずれか大きい方まで非課税
- 小規模宅地等の特例: 自宅の土地の評価額を最大80%減額(居住用は330㎡まで)
- 未成年者控除・障害者控除
注意: 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用するには、たとえ結果的に税額がゼロでも申告が必要です。
相続税の税率は10%〜55%の累進課税です。期限を過ぎると延滞税(年2.4%〜14.6%)や無申告加算税(5%〜20%)がかかります。
相続財産が基礎控除を超えそうな場合は、早めに税理士に相談することをおすすめします。税理士報酬の目安は遺産総額の0.5〜1%程度です。
不動産の相続登記(3年以内・2024年義務化)
2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました(不動産登記法76条の2)。
相続により不動産の取得を知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。正当な理由なく期限内に申請しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
この義務化は、施行前に発生した相続にも適用されます。つまり、過去に相続した未登記の不動産がある場合は、2027年3月31日までに登記が必要です。
登録免許税は固定資産税評価額の0.4%。司法書士への依頼費用は5〜15万円程度が相場です(不動産の数や難易度によります)。
遺産分割協議がまとまっていない場合でも、「相続人申告登記」という暫定措置があります。「自分が相続人である」ことを法務局に申告すれば、義務を履行したものとして扱われます。
実務ポイント: 相続登記をしないまま放置すると、次の相続(数次相続)が発生した場合に権利関係がさらに複雑になります。早めの対応が得策です。
【10ヶ月以降】見落としがちな後処理
相続税の申告が終わると「ようやく終わった」と思いがちですが、まだ見落としやすい手続きが残っています。
準確定申告(4ヶ月以内)を忘れていないか
「準確定申告」とは、被相続人の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに確定申告を行うことです。
期限は、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内(所得税法124条、125条)。相続税の10ヶ月より短いため、見落としやすい手続きです。
準確定申告が必要なケースは以下のとおりです。
- 故人に不動産所得や事業所得があった場合
- 年収が2,000万円を超えていた場合
- 医療費控除を受ける場合
- 2か所以上から給与を受けていた場合
一方、年の途中で死亡したことにより、源泉徴収された所得税が過大だった場合は、還付を受けられる可能性もあります。故人の医療費の領収書を整理しておくと、医療費控除の適用で還付金を受け取れるかもしれません。
遺留分請求の時効(1年)に注意
遺言の内容に不公平を感じている場合、「遺留分侵害額請求」を検討する必要があるかもしれません。
遺留分とは、法定相続人に保障された最低限の取り分のことです。たとえ遺言で「全財産を長男に相続させる」と書かれていても、他の相続人には遺留分が認められます。
遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人の場合は相続財産の1/3、それ以外は1/2。各相続人の遺留分は、これに法定相続分を乗じた金額です。
遺留分侵害額請求の時効は、相続の開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年です(民法1048条)。相続開始から10年が経過すると除斥期間により請求できなくなります。
2019年7月の民法改正により、遺留分の請求は金銭での精算に一本化されました(遺留分侵害額請求)。請求はまず内容証明郵便で意思表示を行い、協議で解決しない場合は調停、訴訟と進みます。
遺言の内容に不満がある場合は、早めに弁護士に相談して遺留分侵害の有無を確認することをおすすめします。
デジタル遺品の整理
近年、重要性が増しているのが「デジタル遺品」の整理です。
- スマートフォン・PC: パスコードがわからない場合、キャリアやメーカーでも原則として解除はできません。Apple の「デジタル遺産プログラム」やGoogleの「アカウント無効化管理ツール」など、各社の制度を利用しましょう
- SNSアカウント: Facebook(追悼アカウント化または削除)、X/旧Twitter(削除申請)、Instagram(追悼アカウント化)——いずれも死亡証明書等の提出が必要
- サブスクリプション: 月額課金サービスの解約漏れに注意。クレジットカードの利用明細から契約中のサービスを把握できます
- 暗号資産(仮想通貨): ウォレットの秘密鍵がわからないとアクセスできません。なお、暗号資産は相続税の課税対象です
実務ポイント: 故人のスマートフォンは充電を切らさないようにしましょう。パスコード解除ができない場合は、データ復旧業者(費用3〜10万円程度)に相談する方法もあります。
手続き別——誰に相談すればいいか早見表
「どの手続きを誰に頼めばいいのか」は、多くの方が迷うポイントです。以下の表を参考にしてください。
| 手続き内容 | 相談先の専門家 | 費用目安 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 死亡届の提出 | 葬儀社が代行 or 自分で役場 | 無料 | 7日以内 |
| 年金・健康保険の停止 | 市区町村役場・年金事務所 | 無料 | 10〜14日以内 |
| 相続放棄 | 弁護士・司法書士 | 3〜10万円 | 3ヶ月以内 |
| 準確定申告 | 税理士 | 5〜15万円 | 4ヶ月以内 |
| 遺産分割協議書の作成 | 弁護士(争いあり)/ 行政書士(争いなし) | 弁護士: 遺産額の数%〜 / 行政書士: 3〜10万円 | なし(税申告に合わせて) |
| 相続税の申告 | 税理士 | 遺産総額の0.5〜1% | 10ヶ月以内 |
| 不動産の相続登記 | 司法書士 | 5〜15万円 | 3年以内 |
| 遺留分侵害額請求 | 弁護士 | 着手金20〜30万円+成功報酬 | 知った時から1年 |
| 銀行口座の解約・名義変更 | 自分で銀行窓口 / 行政書士 | 無料〜3万円 | なし |
ポイント: 弁護士は「争いがあるとき」「法的判断が必要なとき」に頼る専門家です。税金のことは税理士、不動産の登記は司法書士、争いのない書類作成は行政書士——と覚えておくと、最初の相談先を間違えずに済みます。
よくある質問(FAQ)
Q: 親が亡くなったら最初に電話するのはどこですか?
病院で亡くなった場合は、まず葬儀社に連絡してください。ご遺体の搬送が必要です。自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡しましょう。医師がいない場合は119番(救急)に連絡してください。事件性がある場合は110番です。
Q: 相続手続きに期限はありますか?すべて急がなければいけませんか?
期限がある手続きとない手続きがあります。特に重要な期限は以下のとおりです。
- 死亡届: 7日以内
- 年金停止: 10〜14日以内
- 相続放棄: 3ヶ月以内
- 準確定申告: 4ヶ月以内
- 相続税申告: 10ヶ月以内
- 相続登記: 3年以内
期限のない手続き(遺産分割協議など)も、相続税申告の10ヶ月を目安に進めるのが現実的です。相続手続きの全体スケジュールについては、別記事で詳しく解説しています。
Q: 葬儀費用は誰が払うのですか?故人の口座から出せますか?
一般的に喪主が立て替え、後日遺産から精算するのが一般的です。2019年施行の「遺産分割前の預貯金仮払い制度」を使えば、遺産分割前でも故人の口座から引き出せます。上限は「預金額×1/3×法定相続分」で、1金融機関あたり最大150万円です。
Q: 相続人同士で話し合いがまとまらない場合はどうすればいいですか?
まずは弁護士に相談し、法的な権利関係を整理してもらいましょう。当事者間の協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の「遺産分割調停」を申し立てることができます。調停では、調停委員が間に入って話し合いを進めてくれます。調停でも不成立なら「審判」に移行し、裁判官が分割方法を決定します。
Q: 相続税がかかるかどうか、どうやって判断すればいいですか?
相続財産の合計が基礎控除額を超える場合に課税されます。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。例えば相続人が配偶者と子ども2人の場合、基礎控除は4,800万円になります。自宅の土地は路線価で評価するため、時価より2〜3割低くなることが一般的です。判断が難しい場合は、税理士の無料相談を活用しましょう。
「全体像はわかったけれど、自分のケースではどうすればいいのだろう」と感じた方へ
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相続の状況は一人ひとり異なります。不動産があるのか、借金があるのか、相続人が何人いるのか——状況によって最適な進め方は変わります。
>
弁護士や税理士の無料相談では、あなたのケースに合わせた具体的なアドバイスを受けることができます。「相続で揉めそう」「相続放棄すべきか迷っている」という方は弁護士へ、「相続税がかかるかわからない」「申告の仕方がわからない」という方は税理士へ相談するのがスムーズです。
>
初回無料の相談先については、別記事でまとめています。まずは一歩を踏み出してみてください。

