SNSアカウントの死後対応——Facebook・X・Instagram・LINEの追悼・削除手続き一覧
故人のSNSアカウントがそのまま残っている。誕生日になると「おめでとう」の通知が表示される。友達候補として他の人に表示される——そんな状況に心を痛めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
SNSアカウントの放置は、遺族の心理的な負担だけでなく、なりすましや乗っ取りといったセキュリティ上のリスクにもつながります。しかし、主要なSNSには故人のアカウントに対応する正式な手続きが用意されています。
この記事では、Facebook・X(旧Twitter)・Instagram・LINEの4大SNSについて、追悼アカウント化や削除の具体的な手続き・必要書類をまとめて解説します。
故人のSNSアカウントを放置するとどうなるか
なりすまし・乗っ取りのリスク
長期間ログインされていないアカウントは、不正アクセスの標的になりやすいことが知られています。故人の名前やプロフィール写真を悪用した詐欺メッセージが、故人の友人に送られる被害事例も報告されています。
とくにFacebookやInstagramでは、乗っ取られたアカウントが広告詐欺やフィッシングに利用されるケースがあり、故人の名誉だけでなく、つながっていた人々にも被害が及ぶ可能性があります。
遺族の心理的負担
SNS上で「○○さんの誕生日です」という通知が表示されたり、共通の友人のタイムラインに故人の過去の投稿が表示されたりすることは、遺族にとって大きな心理的負担になります。
こうした状況を放置する必要はありません。各SNSには正式な対応窓口が用意されていますので、遺族の気持ちが落ち着いたタイミングで手続きを進めましょう。
Facebook——追悼アカウント化 or 削除
Facebookでは、「追悼アカウント化」と「アカウント削除」の2つの選択肢があります。
追悼アカウント化の手続き
追悼アカウントとは、故人のアカウントをそのまま保存しつつ、「追悼」というラベルを付けて特別な状態にする仕組みです。
手続き方法
- Facebookの「追悼アカウントリクエスト」ページにアクセス
- 故人のプロフィールURLを入力
- 死亡を証明する書類をアップロード(死亡診断書、訃報記事、死亡届受理証明書など)
- 申請者と故人の関係を記入して送信
追悼アカウントの特徴
- プロフィール名の横に「追悼」と表示される
- 誰もログインできなくなる
- タイムラインはそのまま残り、友人が思い出を投稿できる
- 「友達かも」や誕生日通知には表示されなくなる
アカウント削除の手続き
故人のアカウントを完全に削除したい場合は、近親者として削除リクエストを送信します。
必要書類
- 故人の死亡証明書(死亡診断書のコピーなど)
- 申請者と故人の関係を示す書類(戸籍謄本など)
- 申請者の身分証明書
処理には数週間かかる場合があります。削除が完了すると、投稿・写真・メッセージなど全てのデータが消去され、復元はできません。
レガシーコンタクト(事前設定)
Facebookでは、生前に「レガシーコンタクト(追悼アカウント管理人)」を指定しておくことができます。
指定された方は、追悼アカウント化後に以下の操作が可能です。
- プロフィール写真やカバー写真の変更
- 投稿の固定
- 新しい友達リクエストへの対応
- プロフィールへの追悼投稿
設定方法: Facebookアプリ→設定→アカウントセンター→個人の情報→アカウントの所有権と管理→追悼アカウント管理人→管理人を選択
X(旧Twitter)——削除申請のみ
Xには追悼アカウントの仕組みがないため、対応は「アカウント削除」のみとなります。
アカウント削除の手続き
パスワードがわかる場合
ログインして「設定とプライバシー」→「アカウント」→「アカウントを削除」から直接削除できます。削除後30日以内であれば復元が可能です。
パスワードがわからない場合
Xのヘルプセンターから「亡くなられたユーザーに関するご連絡」フォームを利用します。
必要な情報・書類
- 申請者の氏名・メールアドレス
- 故人のXアカウント(@ユーザー名)
- 申請者の身分証明書のコピー
- 故人の死亡証明書のコピー
- 申請者と故人の関係を示す書類
処理期間は明確に公表されておらず、数週間から数ヶ月かかることもあります。
削除されるまでの間の対応
削除申請中もアカウントは公開状態のままです。不審なアクティビティがある場合は、別途「不正アクセスの報告」も行いましょう。なお、DM(ダイレクトメッセージ)のデータは、アカウント削除後もX社のサーバーに一定期間残る可能性があります。
Instagram——追悼アカウント化 or 削除
InstagramもFacebook同様、Meta社が運営しているため、追悼アカウント化と削除の両方に対応しています。ただし、手続きはFacebookとは別に行う必要があります。
追悼アカウント化の手続き
Instagramの「追悼アカウントリクエスト」フォームから申請します。
必要な情報
- 故人のInstagramアカウント名
- 故人の氏名
- 死亡を証明する書類(死亡診断書、訃報記事など)
追悼アカウント化後は、フォロー・フォロワーや投稿がそのまま維持されますが、誰もログインできなくなります。
アカウント削除の手続き
近親者が「故人のInstagramアカウントの削除リクエスト」を送信します。
必要書類
- 故人の死亡証明書
- 申請者が法的代理人であることの証明(出生証明書や遺言書など)
- 申請者の身分証明書
FacebookとInstagramの連携に注意
FacebookとInstagramはどちらもMeta社のサービスのため、アカウントが連携されている場合があります。しかし、Facebookで追悼アカウント化の手続きを行っても、Instagramには自動的に反映されません。両方のアカウントがある場合は、それぞれ別途手続きが必要です。
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LINE——引き継ぎ不可、削除も困難
LINEは日本で最も利用されているメッセージアプリですが、故人のアカウントの取り扱いは他のSNSと比べて特に制約が大きいのが現状です。
LINEアカウントは第三者への引き継ぎ不可
LINEの利用規約では、アカウントは本人のみが使用できるものと定められています。たとえパスワードがわかっていても、別の端末でログインするには本人の電話番号でのSMS認証が必要です。
故人の電話番号が携帯キャリアにより解約された時点で、SMS認証は不可能になります。つまり、故人のLINEアカウントにアクセスすることは、実質的にできなくなります。
アカウント削除の方法
LINEの「お問い合わせフォーム」から削除依頼を送ることは可能です。ただし、本人確認が困難なため、処理には時間がかかります。
実際には、携帯キャリアの解約に伴い電話番号が無効になると、LINEアカウント自体が使用できなくなるケースがほとんどです。ただし、その電話番号が他の人に再利用された場合、故人のアカウントに関連した情報が表示されるリスクがゼロではありません。
トーク履歴の保存は生前のバックアップのみ
LINEのトーク履歴はLINE社のサーバーに長期保存されておらず、基本的に端末のローカルデータです。スマホのロックが解除できなければ、トーク履歴を取り出すことはできません。
唯一の対策は、生前にiCloud(iPhone)またはGoogle Drive(Android)へのバックアップ設定を有効にしておくことです。
SNS別対応の比較表
| SNS | 追悼アカウント化 | 削除申請 | 必要書類 | 事前設定 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 可能 | 可能 | 死亡証明書、関係証明書 | レガシーコンタクト | 追悼化が推奨 | |
| X(旧Twitter) | 不可 | 可能 | 死亡証明書、身分証明書、関係証明書 | なし | 処理に時間がかかる |
| 可能 | 可能 | 死亡証明書、法的代理人の証明 | なし | Facebook とは別手続き | |
| LINE | 不可 | 困難 | — | なし | 電話番号解約で実質アクセス不可 |
今からできる事前設定——自分のアカウントのために
故人のSNS対応で苦労した経験は、ご自身の「もしものとき」の備えにもつながります。
Facebook「レガシーコンタクト」の設定手順
- Facebookアプリを開く
- 「設定とプライバシー」→「設定」
- 「アカウントセンター」→「個人の情報」
- 「アカウントの所有権と管理」→「追悼アカウント管理人」
- 信頼できる家族や友人を選択して追加
所要時間は約5分です。設定した相手には通知が届きます。
Google「アカウント無効化管理ツール」の設定手順
YouTube、Gmail、Googleフォトなど、Googleのサービスを利用している場合に有効です。
- Googleアカウントにログイン
- 「Googleアカウントを管理」→「データとプライバシー」
- 「その他のオプション」→「アカウント無効化管理ツール」
- 「開始する」をクリック
- 待機期間(3ヶ月〜18ヶ月)を設定
- データを共有する連絡先を指定
指定した期間アカウントの操作がなかった場合、自動的にデータが共有されます。
デジタル資産一覧をエンディングノートに記載
SNSアカウントの情報をエンディングノートに記載しておきましょう。
| 項目 | 記載内容 |
|---|---|
| サービス名 | Facebook, X, Instagram, LINE など |
| ユーザー名 / アカウント名 | @xxxxx |
| 登録メールアドレス | xxxxxxx@gmail.com など |
| 死後の対応方針 | 追悼アカウント化 / 削除 / そのまま放置 |
| レガシーコンタクト設定の有無 | 済 / 未設定 |
よくある質問
Q: 故人のSNSアカウントのパスワードがわかれば、ログインして自分で削除しても法律上問題ないですか?
A: 相続人であれば故人のデジタル資産へのアクセスは法的に問題ないとされていますが、各SNSの利用規約上はアカウントの共有・譲渡が禁止されています。トラブルを避けるため、各社の正式な手続きを利用することをおすすめします。
Q: 追悼アカウントにした後で、やっぱり削除したいと思ったら変更できますか?
A: Facebookの場合、追悼アカウント化後に削除リクエストを送ることは可能です。ただしInstagramでは追悼化後の削除に別途手続きが必要になりますので、最初に方針を決めてから手続きに入ることをおすすめします。
Q: 故人のSNSに不審なアクティビティがある場合はどうすればいいですか?
A: 各SNSの「不正アクセスの報告」機能を使いましょう。死亡の事実と合わせて報告すると、アカウントのセキュリティ措置が優先的に対応されることがあります。
Q: 海外のSNS(TikTok, LinkedInなど)も同様の手続きがありますか?
A: はい、主要なSNSには故人アカウントの対応窓口があります。TikTokはサポートへの直接問い合わせ、LinkedInは「亡くなった方のプロフィール削除」フォームが用意されています。それぞれのヘルプセンターで「故人」「deceased」などで検索すると手続きページが見つかります。
まとめ
故人のSNSアカウントは、放置するとなりすまし被害や遺族の心理的負担につながります。Facebook・Instagramには追悼アカウント化の仕組みがあり、X(旧Twitter)は削除申請が可能です。LINEは制約が大きいものの、携帯キャリアの解約手続きとあわせて対応しましょう。
手続きには死亡証明書などの書類が必要ですので、他の相続手続きで取得した書類を流用すると効率的です。
デジタル終活の全体像については別記事で詳しく解説しています。そもそもスマホのロックが解除できない場合は、スマホのロック解除方法の記事をご確認ください。SNS以外のデジタル遺品の整理方法については、デジタル遺品整理の記事で解説しています。
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