母の遺言書を開封したとき、妹の佐藤さん(仮名・45歳)は目を疑いました。
「全財産を長男に相続させる。」
母の財産は預貯金1,200万円と自宅(評価額800万円)の合計2,000万円。兄と2人きりの相続人である佐藤さんには、1円も残されていませんでした。
「母は兄の方が好きだったのかもしれない。でも、法律上の権利はあるはず——。」佐藤さんは弁護士に相談し、遺留分侵害額請求で500万円を取り戻しました。
※本事例は複数の相談事例をもとに一般化した架空のケースです。
ケースの概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 被相続人 | 母(85歳で死亡) |
| 相続人 | 兄(50歳)、妹・佐藤さん(45歳) |
| 遺産総額 | 預貯金1,200万円+自宅800万円 = 2,000万円 |
| 遺言書の内容 | 「全財産を長男に相続させる」(公正証書遺言) |
| 佐藤さんの法定相続分 | 1/2 = 1,000万円 |
| 佐藤さんの遺留分 | 法定相続分の1/2 = 500万円 |
遺言書の内容に衝撃
母の生前、佐藤さんと兄の関係は良好でした。母が公正証書遺言を残していたことすら知りませんでした。
兄は「母の意思だから」と主張。しかし、遺留分は法律で保障された最低限の取り分であり、遺言書でも侵害することはできません(民法第1042条)。
遺留分の計算
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 遺産総額 | 2,000万円 |
| 佐藤さんの法定相続分(1/2) | 1,000万円 |
| 遺留分割合(法定相続分の1/2) | 1/2 |
| 佐藤さんの遺留分 | 500万円 |
弁護士への依頼——最初の相談から合意まで
Week 1: 初回無料相談(30分)
「遺留分侵害額請求」という方法があることを弁護士から聞き、依頼を決断。
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 初回相談料 | 無料 |
| 着手金 | 20万円 |
Week 2: 内容証明郵便の送付
弁護士が兄に対して、遺留分侵害額請求の内容証明郵便を送付。
重要: 遺留分侵害額請求には1年の時効があります(相続開始と遺留分侵害を知った時から1年)。佐藤さんは遺言書の存在を知ってから2ヶ月後に弁護士に依頼したため、余裕を持って請求できました。
Week 3-12: 兄との交渉
弁護士が代理人として兄と交渉。当初、兄は「母の意思を尊重すべき」と反論しましたが、弁護士が遺留分は法律上の権利であり、拒否できないことを説明。
交渉のポイント:
- 遺留分は金銭での支払いが原則(2019年民法改正で金銭請求に一本化)
- 不動産の共有を強制されない ← これが改正の大きなメリット
- 兄は自宅に住み続けながら、預貯金から500万円を支払えばよい
Week 12: 合意成立
3ヶ月の交渉を経て、兄が500万円を一括で支払うことで合意。裁判(調停・訴訟)に進まずに解決できました。
費用と手取りのまとめ
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 遺留分侵害額請求で取得 | 500万円 |
| 弁護士費用(着手金20万+報酬金50万) | ▲70万円 |
| 手取り | 430万円 |
弁護士費用を差し引いても430万円。 弁護士に依頼しなければ0円だったことを考えると、十分なリターンです。
この事例から学ぶ3つの教訓
教訓① 遺留分には1年の時効がある
相続開始と遺留分侵害を知った時から1年で時効にかかります。遺言書の内容に納得できない場合は、すぐに弁護士に相談してください。「もう少し考えてから」と先延ばしにしているうちに時効が成立するケースがあります。
教訓② 2019年改正で「金銭請求」に一本化
改正前は遺留分を「現物返還」で請求する制度だったため、不動産が共有状態になるという問題がありました。改正後は金銭での支払いに一本化されたため、不動産を共有にせずに解決できます。
教訓③ 弁護士費用は「投資」と考える
70万円の弁護士費用に抵抗を感じるかもしれませんが、その結果430万円の手取りを得られました。弁護士に依頼しなければ0円、依頼すれば430万円——これは投資としてのリターン率で言えば600%以上です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 遺留分を請求したら、兄弟関係は壊れませんか?
率直に言えば、関係が悪化するリスクはあります。しかし、遺留分は法律が保障した権利であり、「奪う」のではなく「守る」行為です。弁護士が間に入ることで、感情的な直接対決を避けられます。
Q2. 兄が「払えない」と言った場合はどうなりますか?
交渉で分割払い(例:月10万円×50回)に合意する方法があります。それでも支払わない場合は、裁判所に調停→訴訟を申し立て、強制執行(不動産の差押え等)も可能です。
Q3. 遺留分の請求は自分でもできますか?
法律上は自分でもできますが、相手方との交渉を一人で行うのは精神的に非常に辛いのが実情です。特に兄弟間の場合、感情が絡むため、弁護士に代理を任せることを強くおすすめします。
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※本事例は複数の相談事例を一般化した架空のケースです。