喪主がやることリスト——通夜・葬儀・初七日まで時系列で解説
初めて喪主を務めることになった。何から手をつければいいのか、何を忘れてはいけないのか、頭の中が真っ白になる——そうした状態は、まったく自然なことです。
喪主がやるべきことは確かに多岐にわたります。しかし、時系列で整理してしまえば、一つひとつはそれほど複雑ではありません。
この記事では、臨終直後から初七日までのすべてのタスクを時系列で解説します。喪主の挨拶例文、葬儀社との打ち合わせで確認すべきポイント、費用の概算まで網羅しています。
大切なのは、「一人で全部やろうとしない」こと。このリストを家族と共有し、役割を分担しながら乗り越えてください。
喪主とは——役割・決め方・心構え
喪主の3つの役割
喪主には、大きく分けて3つの役割があります。
1つ目は、葬儀全体の意思決定者。葬儀の形式・規模・予算など、主要な判断を行います。
2つ目は、弔問客への代表者。通夜や告別式での挨拶を行い、遺族を代表して弔問客に対応します。
3つ目は、費用の最終負担者。葬儀費用の支払い責任を負うのが一般的です。ただし、法律上の明確な定義はなく、費用を実際に負担する「施主」を別に立てることも可能です。
「すべて自分一人でやらなければならない」と思い込む必要はありません。
喪主の決め方
喪主は、故人の配偶者が存命であれば配偶者が務めるのが最も一般的です。配偶者が高齢で体調が難しい場合は、長男・長女が代わりに務めます。故人が遺言やエンディングノートで喪主を指定しているケースもありますので、確認しておきましょう。
【臨終直後〜数時間】最初にやること5つ
大切な方が亡くなった直後は、悲しみの中でも動かなければならないことがあります。最初の数時間でやるべきことを整理します。
① 医師から死亡診断書を受け取る
病院で亡くなった場合は、主治医から死亡診断書を受け取ります。自宅で亡くなった場合は、かかりつけ医に連絡してください。
死亡診断書はコピーを10枚程度取っておくことをお勧めします。死亡届の提出、保険の請求、銀行口座の手続きなど、さまざまな場面で必要になります。
② 葬儀社に連絡する
事前に葬儀社を選んでいれば、すぐに連絡します。
まだ決めていない場合は、病院から紹介される葬儀社にその場で契約するのは避けてください。「まず遺体の搬送だけお願いし、葬儀の契約は翌日以降に改めて検討する」という方法があります。搬送と葬儀契約は別々に依頼できます。
③ 親族・近親者への連絡
まず連絡すべきは、故人の配偶者・子・兄弟姉妹です。第一報は事実のみ簡潔に伝えます。
「○○が本日○時に亡くなりました。葬儀の日程は決まり次第改めてご連絡します」
葬儀の日程が決まっていない段階で詳細を伝える必要はありません。
④ 遺体の搬送・安置場所の決定
病院の霊安室は長時間の使用ができません。自宅に安置するか、葬儀社の安置室に搬送するかを決めます。
自宅安置の場合は、布団の準備とドライアイスの手配が必要です。葬儀社に依頼すれば手配してもらえます。
⑤ 死亡届の提出
死亡診断書の左側が死亡届になっています。故人の本籍地・死亡地・届出人の住所地のいずれかの市区町村役場に、7日以内に提出します。
多くの場合、葬儀社が代行してくれます。この届出と同時に火葬許可証が交付されますので、必ず受け取ってください。
【葬儀社との打ち合わせ】決めること一覧
臨終の翌日〜翌々日に、葬儀社との打ち合わせを行います。ここでの決定が、葬儀の内容と費用を左右します。
葬儀の種類と規模を決める
まず決めるのは、葬儀の形式です。
- 家族葬(参列者10〜30名):費用目安50〜100万円
- 一般葬(参列者50〜100名以上):費用目安150〜200万円
- 直葬(火葬式)(通夜・告別式なし):費用目安15〜25万円
故人の意向(遺言・エンディングノート)があれば、それを尊重します。参列者の見込み人数を伝え、適切な式場の規模を決めましょう。
打ち合わせで決める8つの項目
葬儀社との打ち合わせでは、以下の項目を一つずつ確認していきます。
- 式場:自社式場・公営斎場・寺院のどれを使うか
- 日程:通夜・告別式の日取り(火葬場の空き状況で決まることが多い)
- 祭壇の種類・グレード:花祭壇・白木祭壇など。費用差が大きい項目
- 棺の種類:桐製・布張りなど。5万〜50万円と幅がある
- 遺影写真:なるべく最近の、表情の良い写真を選ぶ
- 返礼品:会葬御礼(500〜1,000円程度)の内容と数量
- 料理:通夜振る舞い・精進落としの内容と人数
- 宗教者の手配:僧侶・神職など。菩提寺がある場合はそちらに連絡
見積もりで注意すべきポイント
葬儀社の見積もりで注意すべきは、「セットプランに何が含まれていて、何が含まれていないか」です。
追加費用が発生しやすい項目として、ドライアイスの追加日数分、安置の延長料金、式場使用料の超過分があります。
また、お布施は葬儀社の見積もりに含まれていません。読経料・戒名料として15〜50万円が別途かかることを念頭に置いてください。
葬儀社との打ち合わせで後悔しないために、事前の情報収集が重要です。 葬儀の種類・費用相場・見積もりの見方について、不安がある方は専門家への無料相談をご活用ください。葬儀だけでなく、その後の相続手続きも含めた全体像を把握しておくと、いざという時に落ち着いて対応できます。
【通夜当日】喪主がやること
通夜の流れと喪主の役割
通夜当日、喪主が確認・対応すべきことを時系列で整理します。
- 開式2〜3時間前:式場に到着。供花・弔電の並び順を確認。受付担当(親族に依頼)と段取りを確認
- 開式1時間前:僧侶が到着したら控室で挨拶。お布施はこのタイミングか通夜後に渡す
- 開式中:焼香の順番(喪主→遺族→親族→一般参列者)の確認
- 閉式後:通夜振る舞いの準備。弔問客への対応
通夜の喪主挨拶——例文
通夜の終了時に、喪主として短い挨拶を行います。1分程度で十分です。
「本日はお忙しい中、亡き○○の通夜にご参列いただきまして、誠にありがとうございます。故人もさぞかし喜んでいることと存じます。ささやかではございますが、お食事の席を設けておりますので、故人の思い出話などお聞かせいただければ幸いです。本日は誠にありがとうございました。」
感極まって言葉に詰まった場合は、短く切り上げても失礼にはなりません。「ありがとうございました」の一言だけでも、十分に気持ちは伝わります。
【葬儀・告別式当日】喪主がやること
告別式の流れと喪主の動き
告別式当日のスケジュールは以下の通りです。
- 開式1〜2時間前:式場で最終確認。弔辞を依頼している場合は弔辞者と打ち合わせ
- 開式中:僧侶の読経→弔辞→焼香。喪主は最初に焼香
- 出棺前:棺に花を入れる(お別れの儀)。出棺前に喪主挨拶
- 火葬場:火葬(1〜2時間)→収骨(お骨上げ)
- 精進落とし:火葬場から戻って会食
告別式の喪主挨拶——例文
出棺前の挨拶は、2〜3分程度です。
「遺族を代表いたしまして、一言ご挨拶申し上げます。本日はお忙しい中、亡き○○の葬儀にご会葬いただき、心より御礼申し上げます。
○○は(故人の人柄や思い出に簡単に触れる)。皆様からいただいた温かいお言葉の数々は、遺族一同にとって何よりの慰めでございます。
残された私どもは未熟ではございますが、今後とも変わらぬご指導・ご鞭撻をお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。」
精進落としでの挨拶
火葬後の会食(精進落とし)では、開始時と終了時に短い挨拶を行います。
開始時:「本日は最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。ささやかではございますが、お食事を用意いたしました。どうぞごゆっくりお召し上がりください。」
終了時:「本日は長い時間お付き合いいただき、誠にありがとうございました。お疲れのことと存じますので、これにてお開きとさせていただきます。お気をつけてお帰りください。」
【初七日〜四十九日】葬儀後にやること
初七日法要
近年は、告別式の当日に初七日法要を繰り上げて行う「繰り上げ法要」が主流です。別日に行う場合は、亡くなった日を含めて7日目に僧侶を招いて法要を行います。
葬儀費用の精算と領収書の保管
葬儀社への最終支払いは、葬儀後1週間〜10日以内が一般的です。
領収書は必ず保管してください。 葬儀費用は相続税の申告で控除できます。お布施など領収書が出ない支払いは、日付・金額・支払先をメモに記録しておきましょう。
葬儀費用の控除対象について詳しくは、葬儀費用は誰が払うかを解説した記事で確認できます。
香典返し・お礼状の手配
香典をいただいた方には、香典返し(半返し=いただいた額の半額〜3分の1程度)を行います。
即日返し:葬儀当日に2,000〜3,000円程度の返礼品を渡す方法。高額な香典をいただいた場合は後日追加の品を送る 後日返し:四十九日の忌明け後にお礼状とともに品物を送る方法
四十九日法要と納骨の準備
四十九日法要は、故人の魂が仏になるとされる大切な法要です。この日までに以下を準備します。
- 仏壇・本位牌の用意(白木の仮位牌から本位牌へ)
- 納骨先の確認(墓地がある場合は石材店に開扉の依頼)
- 会食の手配
また、四十九日を目安に、年金停止・銀行口座の相続手続き・各種名義変更など行政手続きも進めましょう。親が亡くなった後の手続き全体像を把握しておくと、漏れなく進められます。
喪主が一人で抱え込まないために
家族への役割分担リスト
喪主がすべてを一人で抱える必要はありません。以下の役割は、家族・親族に分担できます。
- 受付担当:2〜3名。香典の受け取り・記帳の管理
- 会計担当:1名。香典の集計・管理
- 連絡係:1名。親族・知人への日程連絡
- 案内係:1〜2名。式場内での参列者の誘導・駐車場案内
- 台所係:1〜2名。通夜振る舞い・精進落としの準備・手配
「全部自分でやらなければ」と思い込まないでください。周囲に頼ることは、決して恥ずかしいことではありません。
葬儀社に任せられること・自分で判断すべきこと
実務的な段取り——式場の設営、進行、搬送、火葬場との調整——はすべて葬儀社のプロに任せて大丈夫です。
喪主が自分で判断すべきは、次の3点に集約されます。
- 規模:誰をどこまで呼ぶか
- 予算:いくらまで出すか
- 宗教的な方針:菩提寺に依頼するか、宗派の決まりをどこまで守るか
この3点さえ自分で決めれば、あとは葬儀社に相談しながら進められます。
よくある質問(FAQ)
Q:喪主と施主は違うのですか?
A:喪主は遺族の代表者として弔問客への対応や挨拶を行う役割、施主は葬儀費用を負担する役割です。多くの場合は同一人物が兼ねますが、喪主が高齢の配偶者で費用は子どもが負担するなど、別々に立てることも可能です。
Q:喪主の挨拶で何を話せばいいですか?
A:定型文で十分です。「参列への感謝」「故人の簡単な紹介」「今後の支援のお願い」の3要素を1〜2分で伝えれば問題ありません。オリジナリティは不要で、感極まった場合は短く切り上げても失礼にはなりません。本記事内の例文をそのまま使っていただいて構いません。
Q:葬儀費用の相場はどのくらいですか?
A:家族葬で50〜100万円、一般葬で150〜200万円が目安です。これに加えてお布施(15〜50万円)、飲食・返礼品費用が別途かかります。同じ内容でも葬儀社によって50〜100万円の差が出ることがあるため、複数社への見積もり比較が重要です。葬儀の種類と費用相場を詳しく知りたい方は、葬儀の種類と費用を解説した記事もご覧ください。
Q:喪主は必ず長男が務めるものですか?
A:いいえ、そのような決まりはありません。一般的には配偶者→長子の順ですが、故人が遺言やエンディングノートで指定している場合はそちらが優先されます。家族間で話し合い、最も適任な方が務めるのが合理的です。
まとめ——事前に知っておくことが最大の安心材料
喪主のやることは多いですが、一つひとつは対処可能です。この記事のリストを手元に置いておけば、「次に何をすればいいか」がわかります。
そして何より大切なのは、一人で抱え込まないことです。家族に役割を振り、葬儀社のプロに実務を任せる。喪主の仕事は「全部自分でやる」ことではなく、「決めるべきことを決める」ことです。
不安が残る場合は、葬儀の事前相談や相続全体の無料相談をご活用ください。葬儀の準備から相続手続きまで、全体を見通しておくことが、いざという時に最も助けになります。
喪主のやることは一人で抱え込まなくて大丈夫です。 葬儀の段取りから費用のこと、その後の相続手続きまで——「何から始めればいいかわからない」という方は、まず無料相談にお問い合わせください。今のうちに備えておくことが、いざという時の最大の安心材料になります。
この記事は一般的な葬儀の情報を提供するものであり、地域・宗派・葬儀社によって対応が異なる場合があります。具体的な手続きについては、葬儀社や専門家にご相談ください。

